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高島屋裏の屋台にて




ひと冬の間に汚れたコートは
元は純白のものだった

くるまれた小さなひとは
少しだけ色白になっていて

初めての寒さに慣れた頃 
もう故郷へ帰るのだった

僕は赤らんで空元気を出し
熱いのを一杯おかわりをした

彼女はナルトの渦巻きをつつき
この紅い模様は何だと訊くので

これは日本式のハートの形で
愛の告白に使うと嘘を教えた

じゃぁあなたは私を好きか?
もちろんだとこれは本当の事だった

親爺は無言で燗酒を酌む
半分 顔が笑っている

「トウキョウ トテモサムイ
 ダケド オデン アッタカイネ」
 
「アナタモ トテモ アタタカイ
 タマゴ タベテイイカ?」
 
今度 日本に来るとしたなら
半年くらい先だという

だけどもそれが東京になるか
大阪か名古屋か あるいは熱海か

それでももしも逢えたなら
何を食べさせてくれるかと言うので

夏は氷かとも思ったが
それは万国共通だろう

のろまな頭は思いつかなくて
夏もやっぱり「おでん」だと答えた

日本では一年中おでんを食うのだ
季節ごとに味が変わるんだ

「ナツ タベタラ アツイネ」
海で泳いでから食べるのです

彼女は 半分信じてなかった
親爺は 湯気に笑いを隠してた

思い出したように風がひと吹き
のれんと背中をかすめていった

僕らはもう少しくっつきあって
僕らはもう少しくっつきあって

半分ずつのナルトを食べた
それは辛子が効きすぎていたから

二人はは肩を抱きあって
黙って目頭を押さえていた




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