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来客



タオルが床に落ち
濡れた手は行き場を見失った
顔を洗っていたのである

念入りにヒゲを剃ったあとのことで
だからといって出かけるわけではなく
珍しく客が訪ねてくるからだった

私は快活に振舞いたく思い
不興を避けるためならば
少々疲れても構わないと思っていた

けれどもタオルが床に落ちて
心積もりの一切が否定された様で
布団をかぶって寝てしまいたく思い

層倍の苦労をもってそれを抑えた
まだ一筋の理性があるらしく
それは邪魔であるとも言えた

私は半眼をもって足元をさぐり
埃のついたタオルを拾った
そうして顔をぬぐって鏡に向かうと

私の沈んだ気分に反して
目は晴れ晴れと輝いていた
実は来客が嬉しいのかもしれない

そうだ 私は本当は
そんなに人嫌いではなかったはずだ
思いなおして笑みを試すと

鏡に映るその顔に
不吉な翳は見当たらなかった
少し鼻毛は伸びていたけど


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